はじめに
3Dプリンタを購入して以来、手先が不器用で細かい作業が苦手な自分でも比較的簡単に自分の思い描いた構造を実物として作ることができるようになりました。特に、柔軟な素材 (TPU)を用いて作る平面的な折り畳み構造は設計が簡単で、自分が思いついたものをすぐに形にできるので非常に楽しいです。
このページではTPUを使った3Dプリントに関する取り組みについてまとめていきます。新しいものを作り次第随時加筆していく予定です。
Hinged tessellation
tessellationとは、図形を使って平面を敷き詰めることです。そしてhinged tessellationとは、図形の敷き詰めに加えてそれらの図形がヒンジで接続されて回転できるようになっているものです。
正方形のhinged tessellation
恐らく最もベーシックなhinged tessellationです。正方形同士がヒンジで接続されて1自由度で動きます。今回はそれぞれの正方形に矢印をつけて3Dプリントしてみました。回転の様子がわかりやすくなり、変形の前後で矢印の向きが揃ったり互い違いになったりします。
正方形hinged tessellationのアレンジ
正方形のhinged tessellationは、頂点の位置を固定すればそれぞれの辺を単一の曲線で置き換えられることに気が付きました。下の画像はGeoGebraを使用して作成したアニメーションで、正方形のそれぞれの辺を単一のベジェ曲線に置き換えています。2つの黒い制御点を動かすことでリアルタイムに変形させることができます。
辺の置換で得られるhinged tessellationをいくつか3Dプリントしました。
正六角形のhinged tessellation
正六角形が敷き詰められたハニカム構造をhinged tessellationにしてみました。
星形と正多角形の変形構造
六芒星と正六角形
六芒星と正六角形から構成される構造です。
五芒星と正十角形
五芒星と正十角形から構成される構造です。先ほどまでのhinged tessellationと似ていますが、このパターンは平面を充填することができません。
この構造を正十二面体に拡張することを考えました。正十二面体は正五角形12個で構成されています。正十二面体のそれぞれの面をこの五芒星の平面機構に置き換えて、正十二面体の各頂点にジョイントを設けて接続します。私の考えではこの構造は1自由度を持つはずです。まずはGrasshopperを使ってアニメーションを作成しました。
実際に3Dプリントします。五芒星の構造に5つの穴を開け、ジョイントと結束バンドで固定しました。ある程度満足する結果にはなりましたが、もっと滑らかに動かせるよう改良していくつもりです。
その他
その1
正三角形と、正三角形を4つ並べた図形の二種類の図形から構成される変形構造です。
その2
帯状に格子を配置したような構造です。作成前からなにか動作を予想していたわけではなく、なんとなく3Dプリントしたものです。裏返したりして遊ぶことができます。