はじめに
新しい3DプリンタであるFLASHFORGE AD5Xを購入したのでそのことについて書いていきます。
購入した経緯
私は変形する3Dプリント作品のために、TPUという弾力のある柔らかい素材をよく使っています。ですがこのTPUはその柔軟性故にマルチカラーを謳う3Dプリンタでは扱えないことが多く、今までメインで使っていたBambu Lab X1C + AMSでは硬度95AのTPUフィラメントに対応していません。同社の最新機種H2DはデュアルノズルでTPUのマルチカラーができそうだと楽しみに発表を待っていたのですが、最もベーシックな構成で34万円もするので私には厳しい値段でした。
そこで注目していたのがFLASHFORGEのAD5Xです。6万円弱という価格でマルチカラー機能を搭載していて、どうやらTPUにも対応しているらしい!
そんなこんなで以前から気になっていたのですが、Japan RepRap Festival 2025というイベントで実機を見る機会があり、これは良さそうだということで思い切って購入しました。
所感
3Dプリンタの専門家というわけではないので詳細なレビューはできないのですが、総評としては買って良かったなと思っています。お手頃な価格でTPUのマルチマテリアルができてとても楽しいです。
ただ、自分で調整などをしっかりしていく必要がある点は注意すべきかもしれません。自分がメインで使用していたBambu Lab X1CとA1miniは本当に調整がほぼ不要で、用意されたプリセットそのまま使うだけでほぼ全て事足りていました。その点AD5Xはほんの少し手のかかる子という印象です。でも安いしX1CやA1miniにはできないことができるのでオーケーです。
TPU使用に関する注意点など
TPUマルチマテリアルは公式非推奨
FLASHFORGE公式としてはTPUのマルチマテリアルは非推奨らしいです。購入後に知ってびっくりしました。まぁ使えているので問題ないですが。

0.4mmノズルも非推奨
結構な頻度で詰まります。ここは個人的に結構痛いポイントです。造形できる最も薄い壁の幅が太くなってしまうので、0.4mmと0.6mmでは感触がかなり変わります。
インターロックビームが便利
注意点というかおすすめ設定です。スライサ上でこの項目をオンにするとTPUと他の素材のひっつきが良くなります。

実際に見てみましょう。左側の写真はスライス結果の全体像です。水色がPLAでオレンジはTPUのフィラメントとなっています。
右側の写真はPLAとTPUが接している面の、さらに数レイヤー下側の断面です。ビーム構造が生成されて食い込んでいる様子がわかるかと思います。


AD5Xでプリントした作品
星
六芒星のhinged tessellationです。
基本は白色のTPUでプリントし、最上部を水色とオレンジのPLAで色分けしています。
単色プリント用の3DモデルはMakerWolrdで公開しています。ぜひ遊んでみてください。
https://makerworld.com/en/models/1024356-tpu-deployable-hexagram#profileId-1006277

正方形グリッド
AD5XのTPUマルチマテリアルの試作として一番最初に作ったものです。最もベーシックな正方形のhinged tessellationです。
変形しない正方形部分を白色のPLA、折れ曲がるヒンジ部分を青色のTPUで作っています。角にTPUのヒンジを配置しただけだとPLAと接触する部分が少なくてすぐに外れてしまったので、TPUを正方形の中にめり込ませるようにモデリングしました。白色のPLAが少し透けて中にTPUが入り込んでいる様子が見て取れるかと思います。

矢印
先ほどの正方形のhinged tessellationの上面に矢印を配置したものです。回転させる方向によって矢印の向きが揃ったり互い違いになったりします。

以前は下の単色の3Dプリンタで印刷途中にフィラメントを手動で切り替えて少々強引に矢印を表現していました。AD5Xなら無理なく矢印を2色(赤と青)で表現することもできて、よりそれぞれの回転方向がわかりやすくなっているかと思います。

おわりに
今回の記事で紹介した作品やその他諸々を3DPの集い in 大阪 2025とMaker Faire Tokyo 2025に出展する予定なので、興味のある方はぜひ遊びに来てください!